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2015年01月31日

button_15.jpg  大阪・企業の9割「価格転嫁は無理」 ── 電気料金再値上げ影響調査で判明

火力発電用語事典改訂5版 [ 火力原子力発電技術協会 ]

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THE PAGE 1月31日(土)

 大阪商工会議所が会員企業に実施した関西電力が4月から電気料金を値上げした場合の影響調査によると、9割の企業が「価格転嫁は無理」と深刻な打撃を想定していることが分かった。節電対策が限界に達しているため、電力を大量消費する製造業の中には、「関電管内から出ていかざるを得ない」という関西撤退の動きもうかがえ、関西経済再生へ予断を許さない。

「節電はやり尽くした」「もう限界」

 この調査は1月、会員企業1356社を対象に実施し、243社から回答があった。関西電力は2013年春、企業向けで10%超の電気料金値上げを行ったが、さらに今年4月から企業向けで10%超の値上げを経済産業省に申請している。

 原発停止に伴う火力発電の燃料費の増大が再値上げの理由だが、再値上げが実施された場合、企業にとっては大幅値上げが短期間に相次ぐことになる。

 会員企業に電気料金上昇分を製品やサービスの価格に上乗せできるかを聞いたところ、「ほぼ全額転嫁できる」は全体のわずか3・3%だけで、90・5%は「ほとんど転嫁できない」と答えている。電力再値上げが企業経営を直撃しかねない情勢だ。

 さらなる節電やコスト削減努力を実施する余地があるかとの質問に対しては、3割弱(28・8%)の企業が「節電やコスト削減努力はおおむねやり尽くした」と回答。「実施する余地は少ない」(64・6%)を合わせた9割強(93・4%)の企業から、節電は限界に近いことが指摘されている。
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電力購入先変更の動きが加速か

 再値上げが実施された場合、関電管内で企業活動の縮小、抑制、撤退を検討するか聞いたところ、28社が検討すると答えた。検討項目は「生産拠点」(50・0%)がもっとも多く、「営業・販売拠点」「本社機能」(いずれも46・4%)、「物流拠点」(33・7%)が続いた。

 電力購入先の変更予定の質問に対しては、「現在、関西電力のみから購入しているが、再値上げが実施された場合、他の電力会社からの購入を検討する」との回答が3割弱(28・8%)あった。

 「すでに関西電力以外からも購入しているが、他の電力会社からの購入割合を高めたい」(4・9%)を合わせて、3割強(33・7%)の企業が、関西電力以外への購入先変更の動きを加速させそうな情勢だ。

関電管内以外への全面移転も視野に

 大阪商工会議所ではアンケート調査時、企業の生の声にも耳を傾けている。ある機械メーカーは「このまま電気料金が高止まりするなら、関電管内以外への全面移転を検討せざるを得ない」と危機感を隠さない。

 別の製造業では「2年ほど前から移転先を探しているが、再値上げが決まると、関電管内以外への移転が現実味を帯びてくる」と緊張感が高まる。原料加工メーカーからは「受注に追われて忙しいが、電気料金の再値上げ分が利益を食ってしまい、今春の賃上げがむずかしいかもしれない」と、賃上げへの影響を懸念する声が聞こえてくる。

 再値上げで苦しくなるのは製造業ばかりではない。ビルのテナントとして店舗展開している外食・サービス業では、ビル会社が電気設備を一括管理しているケースが多い。電力購入先の変更や節電型照明への切り替えなどが、テナントの独自判断ではできず、節電対策が限られている。

 円安による輸入材の値上げ、消費税の増税、人件費上昇に、電力料金の再値上げ。大阪・関西の中小企業には、逆風に耐える試練の局面が続きそうだ。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)

button_15.jpg  【新電力EXPO2015】再生エネ・新電力に復興をかける福島県

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RBB TODAY 1月30日(金)

 2016年の電力事業完全自由化を控え、28日から30日にかけて「新電力EXPO」が東京ビッグサイトで開催されている。ENEX、Smart Energy Japanというエネルギー関連のイベントとの併催イベントだが、新電力事業に特化した企業や団体のために新設されたものだ。

 福島県は再生エネルギー事業を紹介・展示するパビリオンを構えている。ENEXイベントでの出展だが、新電力事業についても積極的な支援をするそうだ。その背景にはもちろん東日本大震災の復興がある。県としては2040年までに100%再生可能エネルギーに切り替えるという目標を掲げており、新しいエネルギービジネス、新電力事業はその支えとなる。

 福島県では、空港を利用したメガソーラー、飯館村の太陽光発電施設など電力自由化を見据えた事業を展開しているが、26日には系統接続保留の解除が施行されたことを機に、新しい電力ビジネス、新電力会社に関する提案を考えているところだと福島県担当者はいう。

 また、災害に強く自律した地方をめざすべく、新エネルギーに対する取り組みは「地産地消」をキーポイントとしている。そのためには発電・送電・小売りの自由化は追い風となるだろう。パビリオンでは、風車とソーラーパネルを備えた屋外用ハイブリッドLED照明(サンケン電気)、安全・長寿命なリチウムイオンバッテリー(ソニーエナジー・デバイス)などが展示されていた。ハイブリッドLED照明は、公共スペース以外にも避難場所での応用が期待される。また組成が安定しており、発火しにくい10年の長寿命バッテリーは、電力消費のピークシフト、デマンドコントロールに最適として、主要な建物ごとに展開できれば、再生可能エネルギーや小規模発電事業者による電力の地産地消が加速されるだろう。

 この担当者によれば、福島県はエネルギー関連の企業・団体が520ほどあり、再生可能エネルギーの研究会を立ち上げている。このうち9社がパビリオンに参加しているという。電力の完全自由化を地方活性につなげる福島県の取り組みに注目したい。
2015年01月30日

button_15.jpg  三菱ふそう、全国サービス拠点の電気使用量削減で省エネ大賞受賞

レスポンス 1月29日(木)

三菱ふそうトラック・バスは1月28日、販売サービス拠点における省エネ活動が2014年度「省エネ大賞」省エネルギーセンター会長賞(業務・輸送分野)を受賞したと発表した。

省エネ大賞は省エネルギーセンターが主催し、優れた省エネ活動事例や技術開発による先進型省エネ製品などを表彰。省エネルギー意識の浸透、省エネルギー製品の普及促進に寄与することを目的としている。

三菱ふそうでは、直系ディーラーネットワークとして全国194拠点の営業・整備体制を構築しており、約6000人の従業員が働いている。そのなかで、全拠点にて2010年度比電気使用量を5%削減する目標を設定し、エネルギーマネージメントシステム(EMS)、LED照明、太陽光発電のハードウェアを導入。節電コンテストなどのソフト面の活動を行ない、結果として2011年から2013年において全国で電気使用量原単位(電気使用量/整備売上)の12%削減を実現した。

同社の受賞は、2013年度「サプライチェーンにおけるCO2削減」の省エネ事例部門資源エネルギー庁長官賞、小型トラック「新型キャンター エコ ハイブリッド」の資源エネルギー庁長官賞受賞に続くもので、2年連続の受賞となる。

《レスポンス 成瀬雄太@DAYS》
2015年01月28日

button_15.jpg  EVで躍進する、テスラモーターズの生産拠点「テスラファクトリー」を訪ねて

Impress Watch 1月28日(水)

 テスラモーターズの生産拠点「テスラファクトリー」は、米カリフォルニア州フリーモントにある。サンフランシスコ国際空港から高速道路を使って約30分。高速道路を降りてのどかな町並みを過ぎると、いきなり「TESLA」という大きな看板が現れる。

テスラモーターズが同工場で生産したEV(電気自動車)は、2014年実績で3万4000台。2014年9月下旬には約2週間にわたり工場のラインを停止し、工場の生産能力の増強を行い、2015年末までには生産台数を50%増に高める考えだ。このほど、テスラモーターズの生産拠点を訪問する機会を得た。その様子をリポートする。

 テスラモーターズのフリーモントの工場は、かつてGM(ゼネラル・モーター)が自動車の生産拠点として稼働させていた場所だ。1982年には一度閉鎖したものの、その後、トヨタ自動車とGMの合弁工場である「NUMMI(New United Motor Manufacturing)」として、1984年に再稼働。26年間にわたり、トヨタおよびGM向けの自動車生産が行われてきた。トヨタにとっては、初めて日本以外で自動車生産を行った場所でもある。GMはトヨタの生産方式を採用。最盛期には年間50万台の自動車がここで生産されていたという。だが、GMの経営破綻に伴いトヨタとの合弁を解消。NUMMIの閉鎖が決定した。

 そこに目をつけたのがテスラモーターズだった。同社は、2010年にこの工場を買収。既存の設備も譲り受け、2012年6月からEVの生産工場として稼働。2013年には2万2000台を生産した。

「財務部門の担当者は、シリコンバレーでしか勤務したことがなかった。そこで、NUMMIで勤務していた経験者をコンサルタントとして採用し、内部の施設の譲渡に関しても、このコンサルタントを通じて判断し、プレス機や輸送用のクレーンなども譲り受けた。大規模な部品を移動させるための大型クレーンも、通常ならば中古で10万ドル以上するものだったがこれを無料で手に入れた。このクレーンを撤去するためにはさらに大きなクレーンを導入し、100万ドル以上の費用がかかるためトヨタにとってもメリットがあることだった。工場内には8つのクレーンがあるがすべてをあわせて10万ドルですんだ」(テスラモーターズ ツアープログラムマネージャーのAdam Slusser氏)という裏話も明かす。

 また、北米で最も大きいとされるプレス機も、GMから400万ドルで購入したという。これも中古で購入すると、5000万ドルはするものだという。

 工場内の組立ラインは、赤と白に塗られた斬新なものであり、生産拠点のイメージを一新させるものだ。また多くのロボットを活用しており、自動化という点でも先進性を感じさせるものだった。「NUMMIの社員の多くがそのまま雇用されたが、NUMMI時代の不満は、もっと働きやすい環境にしてほしいということだった。そこでテスラでは、社員が休憩するためのカフェを作ったり天窓を作ったりして、作業環境を明るくするといった改善を図った。多くのシリコンバレー企業がそうであるように、ここでは飲み物やスナック類は無償で提供されている」という。工場内には作業中も音楽も流れている。

 テスラファクトリーでは、現在、投入から5日間で1台が完成することになる。そのうち、2日間がプレス成形などを行うスタンプセンターでの作業に費やされるという。

 組立作業を行うボディセンターでは、車体の中心部分、右のドア部分、左のドア部分という3つのラインが流れており、それぞれに組立作業を行いながら、1台の自動車として完成させていく。そのほとんどの作業はロボットによって行われる。工程で必要とされる部品の投入や、ロボットやツールのメンテナンスのみが人手で行われており、ロボットの数は全体で160台以上が使用されているという。

「溶接には、CMT溶接という方法を採用している。また、溶接、接着などの組立に行われる7種類の作業はすべてロボットで対応可能であり、ロボットの手先を変えるだけで、作業内容を変えることができる。自動車に新たなオプションが追加された場合にも、ロボットの手先を変えるだけで、新たな作業が行える。効率性の点でも大きなメリットがある」とする。

 ボディーセンターで組み立てが完了すると塗装工程に移動する。塗装工程は、NUMMI時代からそのまま使用されていたものであり、トンネルを通過すると塗装が完了する。塗装完了後には最終組立ラインへと入ることになる。ここで使われているロボットはすべて日本製だ。

 最終組立ラインでは、トリムライン1で、一度取り付けたドアを外してから作業が行われる。また、隣接する形でモーターの生産なども行われるほか、サブ組立ラインでは計器パネルなどの組み立て作業も同時並行で行われ、トリムライン3で自動車本体に取り付ける。計器パネルなどはすべてこの工場内で内製されているという。また、ここでは組み込み用のパーツなどは自動搬送車を使って供給されており、その路線は自由に移動させることができるという。

 バッテリーやパワートレインなどの最も重たい部分は最後に組み込まれることになるが、ここで自動車の重量が一気に増えるため、2つのロボットを使って移動することになる。移動後、再びラインに戻され、タイヤが装着される。タイヤ装着後には、エレベータを使って、自動車が初めて地上に降ろされることになる。続けて、シートやカーペットの装着、オプションで用意される子供用のシートなどを装着。自動車に必要とされるウォッシャー液などもここで装填される。シートは、左側から運び込まれて自動車の中に設置される仕組みだという。

 最後にドアが再び取り付けられて、自動車が完成。ホイールアライメントや水圧検査を経て、工場内のテストコースで様々な走行テストを実施。時速100マイルまでの走行も行うという。

「EVは、内燃機関を持つ自動車に比べて部品の数が少ないという特徴を持つ。パワートレインは17個の部品しかない。また、EVは排出ガスがないため、工場内でのテスティングのための換気装置が不要であり、工場内ではガスの臭いがしない。モデルSとモデルXでは、6割が同じ部品を使っており、効率よく生産ができるというメリットもある」という。

 現在、テスラファクトリーでは、生産ラインおよび営業などの事務担当者などを含めて4000人が勤務。部署によって異なるものの、8時間および10時間の2交代制で生産を行っており、旺盛な受注に対応しているという。勤務前には、変更点や改善部分の情報を共有してから作業を開始する仕組みが定着しているのも特徴だ。

 2014年9月下旬に行われた工場の改善は、フリーモントの工場を大きく進化させることになった。実際、2週間にわたる生産停止期間中の生産能力の増強は、大規模なものだったといえる。

 作業場所として、1.6km分のスペースを新たに確保するとともに、世界最大級のロボットを10台導入。116km分のイーサネットケーブルを使用したネットワーク環境を構築したという。

 コンベアーと先端ロボットを採用したパワートレイン部門では、1日に加工できるバッテリーセルの数が80万個から100万個へと増強。ホワイトボディー部門では、新たな溶接ロボットを追加したことで、アップタイムを10%改善したという。組立ラインでは13台のバッファを用意し、生産のボトルネックを防ぐという仕組みも採用した。

 赤と白の塗装もこの期間に進められ、天窓の採用、照明のLED化のほか、工場内に植物を配置して緑を増やすといったことも行われた。塗装のために4万5425Lのペンキを使用し、1万8581平方メートルのエポキシ樹脂フローリングが敷かれたという。

 最も劇的な変化を遂げたのは組立ラインだ。頭上にあった鉄や機械構造を撤去。より小さなスペースで、車を丸ごと持ち上げるロボットが稼働しやすいようにし、高い精度で操作ができるようになったという。

 このロボットは近い将来にはバッテリーパックを自動で自動車に組み込めるようになり、最も人手がかかる工程が自動化することになるという。

 そして新たに設置されたロボットには、映画などで人気のX-MENに登場する人物の名前がつけられているのもユニークな点だ。

 トリムラインで帯電レールから自動車をフロアに下ろすロボットはエグゼビアと呼ばれ、その後の作業で、生産ライン上に移動させるために力仕事を行うロボットにはウルヴァリン、アイスマン、ビーストという名前が付いている。また、ストームとコロッサスと呼ばれるロボットはシャーシラインの終わりで作業を行い、バルカンとハボックと呼ばれるロボットは組立作業が完了した自動車をレールに乗せ替える役割を担う。また、サンダーバードとサイクロップスという2台のロボットは、バッテリーを搭載した後の重たくなった自動車を2台が力をあわせて運ぶことになる。

「これらのロボットは我々にとってスーパーヒーローのような存在。それに見合った名前をつけた」。こうした大規模な生産能力の向上によって、現在では週1000台を生産。今後、生産設備の微調整により、生産量をさらに増加させることができるとしている。

 約50万平方メートルの工場敷地は、まだ使われていない場所が多いが、現在生産している現行のモデルSの量産に加えて、今後はデュアルモーター駆動システムを搭載したモデルSの増産を加速。さらに、今年からはモデルXの量産が開始される予定であること、2017年には普及モデルであるモデル3の生産も見込まれており、ますます生産ラインが増強されるのは明らかだ。「将来的には、かつてのNUMMIで生産されていた50万台規模の能力を持つことになるだろう」と、同社では語っていた。

 また、「テスラは、昨年、EVに関する特許を公開しており、より多くのメーカーにEVを生産して欲しいと思っている。EVの拡大に向けては努力を惜しまない」と語る。自社の事業拡大に留まらず、全世界にEVを拡大していくための取り組みにも余念がないといえる。


【Car Watch,大河原克行】
2015年01月27日

button_15.jpg  水素分解の酵素、メカニズムを解明 燃料電池に応用期待

神戸新聞NEXT 1月27日(火)

 水素生成への応用が期待される酵素「ヒドロゲナーゼ」が水素分子を分解するメカニズムの一端を、独マックスプランク研究所の西川幸志博士研究員(32)=現兵庫県立大リーディング大学院専任教員=らのグループが初めて解明した。次世代のエコ燃料とされる水素の効率的な生成につながる可能性があり、26日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。

 水素は燃焼のする際に水しか排出せず、環境への影響が小さい。昨年末、市販が始まった燃料電池車も水素を燃料としている。

 ヒドロゲナーゼは微生物が持つ酵素で、高い効率で水素を分解、合成する。反応時に水素がいかにふるまうか−の解明が実用化への鍵となるが、空気中に酸素が0・1%でもあれば働きが抑えられ、反応途中の観察は困難だった。

 同研究所の緒方英明グループリーダーや西川専任教員らは、無酸素状態でヒドロゲナーゼの高純度結晶化に成功。ドイツの放射光施設を用いて、水素分子がプラスとマイナスのイオンに分かれ、酵素の中核部分に結合する様子を1億分の8・9ミリという超高精度でとらえた。

 水素生成などの触媒には現在、プラチナの化合物が用いられるが、希少で高価。西川専任教員は「ヒドロゲナーゼと同様の働きをする安価な人工触媒の開発において、設計図になり得る成果だろう」と説明している。(武藤邦生)
2015年01月21日

button_15.jpg  トヨタ、特許無償提供でみせた限界と危機感 アップルら異業種参入の排除狙いか

トコトンやさしい燃料電池の本 [ 燃料電池研究会 ]

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Business Journal 1月21日(水)

 1月5日、トヨタ自動車が取得した燃料電池車(FCV)関連の5680余件に上る特許を、2020年まで公開・無償提供すると発表した。その内訳は、FCVの中核技術である燃料スタック関連が約1970件、水素を保持する高圧タンク関連が約290件、そして車両活用において最も難しいとされるシステム制御関連が約3350件と、FCV製造にとって虎の子というべき技術である。

 ちなみに、燃料の水素を供給する水素ステーション関連の約70件の特許には、20年という期限がない。このあたりに、インフラを早く充実させたいというトヨタの強い願望が表れているといっていい。

 トヨタが最先端技術をオープンにするのは、今回が実に初めてのことだ。燃費性能で独走状態にあるトヨタのハイブリッドシステム関連の技術などは、他社がハイブリッドに手をつければ何かしらトヨタの特許に触れてしまうといわれるほど、かたくなに守られてきた。ではなぜ、FCVに限って特許のオープン化がなされたのか。

 ひとつには、FCVは関連する技術開発からインフラに至るまで、従来のクルマとはまったく違うプレーヤーを多数必要としていることが挙げられる。ハイブリッド技術はモーターとバッテリーを積んでいるとはいえ、あくまでも従来型の「化石燃料車の生産」という枠を出ないもので、乱暴にいってしまえば燃費性能を上げるひとつの有効な手段でしかない。それに対してFCVは、燃料から何からすべてが違う。同じなのは“クルマであること”だけなのだ。

 インフラまで含んだ自動車の進化、そして目指すは水素社会への大転換。当然、世界的な巨大企業であるトヨタをもってしても、1社の力だけでは限界がある。いくら日本政府が官民一体となって力を入れるといっても、例えば電気自動車(EV)がそうであったように、ネガティブイメージが先行してしまえば広まるものも広まらない。

 特にFCVの場合、家庭での給電が可能なEVとは違って、ガソリンスタンドに代わる供給インフラの整備が問題視されることは間違いない。であればこそ、今のうちに普及を促すイメージ戦略=特許のオープン化により、トヨタのFCVに懸ける本気度をアピールしつつ、世の中の雰囲気を水素社会実現の方向へ導こうという大胆な方針を打ち出したというわけだろう。

 もっとも、特許の無料開放というと、昨年半ばに米テスラモーターズが自らのEV関連技術をオープン化したことの“二番煎じ”という見方もできる。FCV関連の特許開放に関してトヨタの豊田章男社長が、「地球人としてこの先の50年を見据える」と発言したようだが、これはまさにテスラを率いるイーロン・マスク的なビジネスの発想点といっていいだろう。

● 「EV対FCV」という対立構造の不毛さ

 EVとFCVをめぐっては、1970年代に起こった「VHS対ベータ」の「ビデオ戦争」がしばしば引き合いに出され、「EV対FCV」という対立構造に発展したと報じられることも多い。しかし、EVとFCVは決して相反するものではなく、互いのデメリットを長所で補完し合える共存可能なソリューションであるという点で、専門家の意見は一致している。

 例えば、EVの問題点は航続距離と給電時間だが、毎日の通勤や経路の決まった宅配系ビジネスなどにおいては、さほど問題にならない。1日100kmも走ってくれれば、ほとんどの用途はカバーできるものだし、それなら自宅や会社で夜間のうちに充電すれば済むレベルだからだ。要するに、EVは制限された区域内での使用に特化した、さらにスマートなモビリティとして発展する余地が大いにある。

 一方で、FCVには水素ステーションの整備や、そもそも水素をどのように確保していくのかについて、まだ議論や研究開発の余地を残すものの、航続距離や燃料補給の時間といったEVの欠点をカバーしており、現代における長距離輸送の代替システムとして非常に有力である。

 そもそもFCVは、水素と酸素が化学反応を起こす際に発生する電気を使ってモーターを回すという点ではEVの一種である。一方のEVに関しても、トヨタのような巨大企業にしてみれば、FCVが普及しない場合はEVで勝負できる状態を整えておくという狙いもあるだろう。

 ちなみに、テスラ「モデルS」の航続距離は優に400キロを超えている。そう考えると、FCVとの対立構造もあながち的外れではなくなってくるし、テスラによる特許オープン化によって、比較的構造が簡単で参入障壁の低いEVマーケットがこれ以上活性化してもらうのは困るという、従来型自動車産業の危機感が透けて見えたという見方もできる。

● FCVに注力する理由

 では、なぜトヨタはそこまでして、EVではなくFCVに力を入れるのだろうか。

 もちろん、自動車に限らず、水素社会の実現には地球環境を守るという点で大きな可能性がある。大義があるといっていい。現時点では化石燃料の改質による水素製造には二酸化炭素(CO2)削減という大命題に反するという弱点を抱えてはいるものの、将来的にCO2の再利用といった技術が進めば、化石燃料やソーダの精製製造工程における副生ガスとしての水素活用にも弾みがつくだろう。

 その一方で、自動車をつくり続け、その巨大な産業構造を維持していくことが大命題の自動車メーカーにとって、比較的構造が簡単でテレマティクスや自律運転との相性もいいEVに積極的に取り組むことは、例えばグーグルやアップルといった異業種からの参入を招きやすいという点で、諸刃の剣にもなりうる。

 それよりも、部品点数も多くビジネスの視点で参入可能なインフラが期待でき、プレーヤーの数がEVに比べて圧倒的に多いFCVに注力するほうが、産業界の盟主であり続けられる可能性が高いし、産業規模を大きく維持できることは間違いない。ちなみにインフラ拡充に期待が持てる理由としては、水素ステーションビジネスに石油精製・元売り各社が積極的に関与していることが挙げられる。


 現時点で他の自動車メーカーは、トヨタのFCV関連技術の特許公開に関し一様に歓迎と驚きを表明しつつも、積極的に取り組むかどうかはわからない。これまでFCVに取り組めなかった中小メーカーやサプライヤーの研究開発の起点にはなりうるが、ホンダ・GM連合のように、ある程度FCV実現のメドを立てたメーカーにとっては、トヨタの技術活用がどこまで有効なのかは判断の難しいところだろう。もちろん、多くのメーカーがトヨタの技術を使いだせば、部品コストも下がるだろうし、トヨタ方式で次世代FCVのスタンダードを確保することも可能だ。いずれにせよ、特許オープン化のインパクトは計り知れない。

● すでにトヨタのオープン化戦略は「当たった」

 トヨタは昨年12月、世界初セダン型量産FCVとなる「ミライ」を発売したが、率直にいえばユーザーにとってミライを購入・利用する上でダイレクトなメリットはほとんどない。高価で水素ステーションは身近になく、カタチは不格好で床はフラットにならないし、CO2排出量という観点でも水素製造工程まで考慮すればHVの「プリウス」とさほど変わらない。それゆえ生産台数も少ないわけで、市販するとはいうものの、個人ユーザーをまともに相手にしているとは思えない。

 だからといって、数少ない次世代パワーソースのひとつであるFCVを進化させないという手もない。コンセプトカーや先行開発ではなく、量産を視野に入れた市販モデルをたとえ少量であってもつくり続けることで、クルマというものは進化する。FCVが真にユーザーメリットのある乗り物へと進化していけば、インフラや水素の問題などはすぐに解決されるだろう。

 すでにテレビをはじめとする多くのメディアが、トヨタの特許開放について「大英断」「トヨタは本気だ」と報じているが、この時点でトヨタのオープン化戦略は当たった、といえるのではないか。

西川淳/ジュネコ代表取締役、自動車評論家
2015年01月19日

button_15.jpg  北海道――西山坂田電気、太陽光利用した点灯システム

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[ 2015年1月5日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

電気設備設計の西山坂田電気(北海道旭川市、西山仁社長)は太陽光発電を利用した点灯システムを開発した。太陽光と雪の反射光の両方を受光できる表裏両面型の小型太陽光パネルを設置。電力をバッテリーに蓄電し、発光ダイオード(LED)などを点灯する。まず、1日最大6時間点灯するバス待合所の夜間照明システムを開発した。電力会社に売電しない独立型の太陽光発電装置として、店舗の看板や家庭の駐車場照明などの受注を目指す。

button_15.jpg  NTTファシリティーズ、電力低減システム、スマホで細かく制御、施工労務コスト4割抑制

[ 2015年1月6日 / 日経産業新聞 ]

 「BEMS(ビルエネルギー管理システム)だけで光や温度、湿度など1000〜2000個のセンサーとつながっており、この規模のビルでは相当多い」。NTTファシリティーズのイノベーションセンターで出迎えてくれたアドバンストFM部門の渡辺剛主任研究員はこのように説明してくれた。

 イノベーションセンターでは各種センサーから得られた情報を基にエアコンをきめ細かく制御し、消費電力を低減する。同じグループに携帯電話会社のNTTドコモを抱えており、スマートフォン(スマホ)を活用した仕組みも多い。

 「外気冷熱利用のための通知システム」はセンサーなどの情報を基に外気を取り入れられると判断すると、周囲で働く社員のスマホに対し通知する。さらに社員が窓を開けたとシステムが検知すると、エアコンが自動的に停止する機能を備えている。

 スマホ関連では、スマホを使って照明をきめ細かく制御する仕組みを発売した。アイリスオーヤマ(仙台市)などと共同で「FIT LC」と呼ぶシステムを開発。これまでオフィスの照明器具には電力線と制御線の2本がつながっていたが、後者を無線で置き換える仕組みだ。

 施工の手間が減り、「労務コストを4割程度抑えられる」(渡辺氏)という。

 これだけではない。照明器具が無線機能を内蔵し1台単位で制御できるため、照度センサーと連動させて外光が入る窓際ほど照明を自動的に暗くするといった調整ができる。

 社員が持つスマホで自分の頭上の照明だけを点灯したり、無線通信技術「iBeacon(アイビーコン)」の活用で、人がいる場所だけを照らしたりといった利用も可能だ。

 ビルの一角には「直流給電オフィス」と記した看板を掲げた区域がある。380ボルトの高電圧直流給電を用いることにより「交流↓直流」「直流↓交流」の変換に伴う電力の低減を減らすことを狙っている。韓国サムスン電子製の冷蔵庫やモニター、発光ダイオード(LED)照明など380ボルトの直流給電が可能な機器をそろえている。

 「みせるサーバールーム」と名付けたガラス張りの部屋はサーバーがずらりと並ぶ。通常のサーバールームと異なるのはサーバーの稼働状況をリアルタイムで検知し、「全体の負荷が下がると片方に仕事を寄せて、もう一方の装置を停止させる」(R&Dストラテジー部門の中里秀明担当課長)仕組みだ。

 「直流給電やサーバールームの『片寄せ』は独自性が高く、ビジネスとしても期待できる分野」(幹部)という。NTTグループ全体としても通信需要の伸び悩みを背景に新事業の開拓が急務となっており、昨年は持ち株会社の鵜浦博夫社長が投資家にNTTファシリティーズを売り込む場面もあった。ふ化器は15年、一段と重要さを増しそうだ。(奥平和行)

button_15.jpg  光でスピン流生成、東北大、センサー電源に応用へ

スピン流とトポロジカル絶縁体 量子物性とスピントロニクスの発展 (基本法則から読み解く物理学最前線)[本/雑誌] (単行本・ムック) / 齊藤英治/著 村上修一/著

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[ 2015年1月13日 / 日経産業新聞 ]

 東北大学の内田健一准教授らは日本原子力研究開発機構と共同で、光を当てるだけで電子に磁石の性質(スピン)の流れを生み出すことに成功した。このスピンの流れは電気に変換して利用できる。今のところ出力は弱く、現象を確認した段階だが、光から電気を取り出してセンサーなどの電源に使えるとみている。企業と組んで実用化を目指す。

 研究チームはこれまでに、熱や音、電波でスピン流を生み出す技術を開発している。今回、可視光でもスピン流を生み出した。材料の中に金の微粒子を埋め込み、光が当たると電子が集団で振動する表面プラズモン共鳴という物理現象を利用した。この現象が起こると強い電磁場が発生し、スピン流が現れた。

 磁性体の薄膜に白金薄膜を重ねた構造にすることで、スピン流を生み出す。発生したスピン流は磁性薄膜側から白金薄膜へ動く。従来と同じ構造だが、今回は磁性薄膜の中に直径30ナノ(ナノは10億分の1)〜90ナノメートル、高さ20ナノ〜50ナノメートルの金微粒子を入れた。

 実験では、波長690ナノメートルの赤色光を当てると表面プラズモン共鳴が最も大きくなり、スピン流が発生した。素子の大きさは幅5ミリメートル、長さ10ミリメートル、厚さ100ナノメートルで、光を当てたときに発生するスピン流を電気に変換したところ、微弱な電圧が発生した。面積を広げたり構造を改良したりして、センサーに使えるほど実用的な電圧に高める研究を進める。

button_15.jpg  日本でエネ管理を支援、米JLL、消費電力・ガス把握し改善、ホテル・研究所へ導入

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[ 2015年1月14日 / 日経産業新聞 ]

 不動産サービス大手の米ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)は日本でオフィスビルやホテル、研究所などを対象にしたエネルギー管理のコンサルティングサービスを始めた。電力やガスなどの利用状況を把握し、改善策や設備の更新などを提案する。エネルギー管理システムも提供する。電力価格が上昇する中、オフィスの省エネや二酸化炭素(CO2)排出量の削減に取り組む動きが一段と広がると判断。2015年には15〜20社との契約を目指す。

 省エネサービスではまず、オフィスの床面積などをもとにエネルギー使用量を分析する。標準的な使用量に比べ多いか少ないかを把握したうえで、オフィス内にいる人数や設備などから、運用の改善を提案する。具体的には、夜間に複写機やパソコンなどの待機電力の削減や空調管理などの手法を示す。

 JLLはエネルギー管理のシステムも手がけており、配電盤などにセンサーを取り付けることでオフィスの電力利用状況をパソコン画面から管理できる仕組みも提供する。複数の拠点に管理システムを入れ、本社で一括して電力の利用を把握できるようになる。省エネ診断などにも活用する。

 空調設備や照明などの更新も提案する。例えば、オフィスビル内の照明を蛍光灯から発光ダイオード(LED)に変更する際に、ビルオーナーとテナント企業の双方が費用を負担する仕組みにする。ビルオーナーが設備更新の費用を負担するのが一般的だが、テナントが支払う電気料金に設備の更新費の一部を一定期間上乗せする。それでも、テナントの電力料金は従来より下がるメリットがあるという。

 JLLはエネルギー管理や省エネ支援、環境ビル認証の取得支援などの事業を全世界で手掛けている。14年10月には日本に「エナジー&サステナビリティ・サービス事業部」を設置。既存の顧客にエネルギー管理などの提案を始めた。新サービスでは既存の顧客層だけでなく、データセンターや研究所、ホテルなども開拓する。

 日本の温暖化ガス排出量では、事務所やサービス関連の「業務部門」が増えている。13年度には約2億8100万トンと、全体の2割強を占めている。オフィスや小売店などの床面積の増加とともに温暖化ガスの排出が増えており、削減策の強化は急務となっている。

(三輪恭久)
2015年01月12日

button_15.jpg  5年後、トヨタ最大の敵はグーグルになる

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東洋経済オンライン 1月12日

 最近、メディアで「自動運転車」についての報道を見かける方も多いのではないだろうか。

自動車産業の競争領域はシフトしている

 運転が苦手でも自由に好きなところに行けるようになったり、飲酒運転による事故が減る可能性があるなど、メディアでは期待とともに取り上げられている。これまでは自動車産業とは無縁だったインターネット広告企業であるグーグルが、自動運転車の開発に乗り出すといった話題も増えている。

 グーグルだけではない。新興の電気自動車メーカーであるテスラ・モーターズも、自動運転に積極的に取り組んでいる。

 今後、自動運転車は、夢の乗り物として多くの人に受け入れられていくのであろうか。その中で、これまで世界の自動車産業で競争優位を確立してきた日本の自動車メーカーは、どうなってしまうのであろうか。これまでの自動車産業の覇者・トヨタはどのように打って出るのか。

■ 気になる動きを見せるグーグル

 グーグルは巨大なデータセンターを運営し、スマートフォン向けOSであるアンドロイドを開発するなどICT(情報通信技術)領域では圧倒的な地位を確立している。最近は自動車に直接搭載するアンドロイドの開発を準備しているという報道もあり、自動車産業にどのように食い込もうか画策しているように見える。

 しかし、トヨタも今であれば、分厚い株主資本を背景とした「資金調達における優位性」を活用して、グーグルに対抗することができるというのが筆者の見方だ。

 グーグルは、これまで利益成長を牽引してきたインターネットの検索広告のモバイルシフトに苦しみ、将来的な収益源を模索する状況が続いている。一方、トヨタも日本人が思い込んでいるほど“リーン”でもない。

 両社は共に世界を代表する企業であるが、共に課題を抱えている。トヨタがグーグルに対して先手を打つことで、自動車メーカーとして生き残り、自動運転車の時代でも覇権を握り続けることができる可能性がまだ残されている。もし、トヨタがそれに失敗すれば、日本人が「産業の最後の砦」ととらえている自動車産業が、崩壊する可能性もある。

 筆者は自動運転車が自動車の産業構造を変えるだけではなく、鉄道、電力、通信、金融業界や、それらの監督官庁による規制を含めた「社会システム」にも大きな影響を及ぼすと考えている。そして最終的には自動運転車は、「都市デザイン」を変えるほどの影響がある強力なアプリケーションだと考えている。

 実際、グーグルのトップマネジメントも、グーグルグラスをはじめとしたハードウエアを中心に開発するプロジェクト「Google X」では、「自動運転車が最も大きなインパクトを与えるだろう 」と語っている。

■ 電気自動車が優勢になれば、日本勢は危うい? 

 そもそもグーグルが、世の中の仕組みそのものを変えるきっかけにもなりうる自動運転車に期待を寄せるのはなぜか。それは「都市や社会システムに大きく関係するハードウエアにおいて、主導権を握りたい」と考えているからであろう。

 自動運転車の駆動プラットフォームが、ガソリン車のままなのか、それとも電気自動車なのかの議論はあるが(燃料電池車の駆動プラットフォームは電気自動車である)、充・給電の技術的変化を考慮すれば、電気自動車ベースの自動運転車のほうがガソリン車ベースのそれと比較すると、変化余地や拡張性があるように見える。

 自動車が電気で動くようになれば、日本の自動車メーカーが競争優位を確立してきたエンジンは不要になる。

 電気自動車では、駆動プラットフォームに必要な基幹部品は、主にはモーター、インバーター、バッテリーだ。電気自動車では、ガソリン車と比べて部品点数は大幅に減少する。これまで必要だった部品が必要なくなり、結果、自動車の「バリューチェーン」が大幅に短縮化されることになる。

 バリューチェーンとは、ひとつの製品が研究開発を経て、原材料購入・製造から顧客に届くまでの間で、「どこで付加価値が生み出されているか」に注目したつながりを言う。高品質な製品を最適なタイミングで顧客に届けるためには、自社や下請けを含めた多くの関係者のハイレベルな仕事が要求される。そのため、バリューチェーンが長い(社内外の関係者が多い)ほど、その分野の監督官庁との人脈や事業経験、技術などの蓄積のない新規参入者にはハードルが高くなる。

 現在の自動車部品メーカーは、事業ポートフォリオの整理の準備だけではなく、生産プロセスの見直しや資金調達での競争優位を高めなければならない。なぜか?  「バリューチェーンが短くなる」ことは、「ハードルが下がり、新規参入者が増える」ということを意味するからだ。

■ 競争のルール自体が変わる? 

 自動車産業を取り巻く環境の変化はそれだけではない。「競争のルール」自体が変わりつつあるのだ。

 これまでの自動車産業では、燃費や環境規制対応の分野で競争のルールが確立していた(上図の@)。そして、そのルールの中の勝者が日本の自動車メーカーだった。

 しかし、その競争のルールが、ADAS(先進運転支援システム)をはじめとして、「ハードウエアとしての自動車の安全性をいかに担保することができるか」というものにシフトしてきている。競争領域がシフトする際には、技術がきっかけになることが多いが、現在もそのパターンだ。そして、すでにその影響が表れている。

 エンジンからトランスミッションなどを経てタイヤに駆動力を伝える一連の装置を「パワートレイン」と呼ぶが、これを得意とするドイツの自動車部品メーカー、ZFフリードリヒスハーフェンが、米国のTRWオートモーティブを買収すると発表している。TRWはエアバッグなどの安全技術を持っている。また、日本でもパナソニックが、スペインの自動車向けミラーメーカーであるフィコサ・インターナショナルへの出資を決定したりしているが、これも自動車の「安全性」に関する事業ポートフォリオ強化の目的によるものだと考えられる。

 もともと欧州を中心とした既存プレーヤーが先手を打っていた格好だ。BMW、ダイムラー、ボッシュなどをはじめとして、2003年にAUTOSAR(オートザー)という組織を設立し、車載向け基本ソフトウエアの標準化を進めている。

 バリューチェーンの中で、安全性に関する自分たちの基準を国際標準にしようとする「デジュール戦略」を推し進めようとしているのだ。デジュールとは、国際機関などにより決められた“公式の標準”のことで、事後的な“事実上の標準”を意味するデファクトの対義語である。

 その流れでイニシアティブをとるために、必要な技術や企業を買収したいと考える企業もあるであろうし、多額の研究開発費用を負担できずに売却しようとする経営者もいるであろう。まさに、現状の業界再編がそれだ。

 自動運転車の競争領域のシフトはこれだけにとどまらない。実は「自動運転」といっても2種類がある。

 ひとつは、オートパイロット(Autopilot)と呼ばれるもので、飛行機のパイロットが離陸後に活用するような操縦支援をするものと考えてよいだろう。そしてもうひとつが、自律運転(Self-driving)と呼ばれる、搭乗者が運転にかかわることなく目的地に到着できるものだ。

 前者はテスラが好んで使う概念であり、比較的近い将来の自動運転と考えてよい。後者は、グーグルが開発をしている自動運転技術であり、ハードウエアの開発だけではなく、そのハードウエアを運用するために必要な「システム」にまで取り組まなければ実現できないものだ。

 自律運転の世界が実現する際には、競争領域は前出の図のA「ハードウエアの安全性」の競争から、B「システムの安全性」にシフトしているだろう。そしてそのシステムを確立するためには、システムを運用するためのインフラ整備だけではなく、ICTを活用してハードウエアを制御したり、そのハードウエアを運用したりするためのエネルギー調達が重要となってくる。

■ 都市をデザインする必要性

 つまり、自律運転を可能にする自動運転車が走り回るためには、「都市」をデザインしなければならないことになる。

 こうしたデザインを実行することができる企業が、世界にはたして何社存在するであろうか。都市をデザインし、構築し、運用するためには、「資金調達」が競争優位を確立するうえで非常に重要となる。ハードウエアとしての自動車をつくることができればいい、という次元の話ではない。はたして、既存の自動車メーカーに、こうしたスケールの事業を運用することができるであろうか。

 グーグルには、「Google X」のほかに、「Google Y」といわれるプロジェクトが存在しているようだ。グーグルのラリー・ペイジCEOは、超効率的な空港の建設に興味を示しているとも言われる。また、グーグル傘下のベンチャーキャピタルであるGoogle Venturesの投資先には、都市デザインにかかわる企業も含まれている。

 このように自動運転車は、「都市」を舞台に、さまざまな産業を巻き込んで繰り広げられる、極めてスケールの大きな「異種格闘技戦」のきっかけになるはずだ。

 自動車というハードウエアがネットワークに接続され、ハードウエアの使い勝手が、ネットワークの先にあるサービスプラットフォームに左右されるようになれば、「ハードウエア単独の競争」ではなくなる。

■ 教訓にしたい、日本の電機産業の惨敗

 こうした自動車産業の状況と構造的に酷似しているのが、アップルやサムスンに苦杯をなめた、数年前の日本の電機産業だ。

 かつてスマートフォンが登場した際には、デジタルカメラや携帯型ゲーム機、ナビゲーションといった機能が次々と携帯電話に取り込まれ、それまでスタンドアローンであったハードウエアが、移動通信システムによりネットワークに接続された。その結果、「ハードウエア」から「システム」へ、競争領域がより高い次元にシフトしたのである。

 このようにして、ハードウエア専業メーカーは、競争領域の「高次元化」に巻き込まれ、これまでの競争優位がもろくも崩れ去ってしまったのだ。

 日本人はこうした動きを「ハードとソフトの戦い」ととらえがちだが、それは違う。「ハードとシステムの戦い」だと認識すべきだろう。

 このような「敗戦」を振り返ったとき、日本の電機産業の反省として言えるのは、競争領域をシステムにまで広げられることで、ハードウエアの領域での競争領域を奪われてしまったということである。

 過去の日本の電機産業の「負けパターン」を顧みれば、トヨタをはじめとした日本の自動車産業が練るべき策は明らかだ。自動運転技術も、オートパイロットから自律運転へと変化していくのを前提としたとき、日本の自動車産業が、今後、いかに「システム」で優位に立つことができるかが重要である。

 そのシステムの競争優位を決定づけるのは何か。筆者は、「ハードウエア」「ICT」「エネルギー」の3つの要素と考える。

 トヨタなど日本の完成車メーカーは、ガソリン車をはじめハードウエアの作り込みに競争優位があったのは、多くの知るところである。今後、エネルギー調達に強みを持たないトヨタが勝ち抜くには、「ICT」が焦点になってくる。

 競争領域の高次元化はとどまることを知らない。グーグルは衛星動画を撮影することができるSkybox Imagingを買収し、テスラの創業者であるイーロン・マスクCEOやアマゾンのジェフ・ベゾスCEOも宇宙事業を行っている。今後、「Google Z」というプロジェクトが生まれ、その領域が宇宙であった場合、これまで日本の産業を牽引してきた電機や自動車産業は、その競争領域の高次元化に、はたしてついていくことができるであろうか。自動運転車は、そうした「超長期の競争領域シフト」の前哨戦とも言える。

泉田 良輔

button_15.jpg  給電状況をランプでお知らせ 新製品「充電ケーブル」を発売〈ASAhIパソコン〉

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dot. 1月11日(日)

 パソコン周辺機器を販売する「ミヨシ」は、1月初旬から給電状況がランプの色でわかる給電ケーブル「パワーが見えるmicroUSB充電ケーブル」を発売する。

 このケーブルは、「赤」・「オレンジ」・「緑」の3色のLEDライトが給電容量を知らせてくれる。赤色は「急速充電中」、オレンジ色は「通常給電中」、緑色は「給電完了」をそれぞれ示す。暗い場所や離れた場所でも給電状況がわかるのが特徴だ。搭載されているmicroUSBポートは、各社のスマートフォンやタブレットのほか、小型電子辞書や携帯音楽プレーヤーなどにも対応している。

 価格はオープン価格だが、参考売価は税込みで1600円〜1710円。家電量販店などで購入できる
2015年01月11日

button_15.jpg  武蔵野銀行、FCV MIRAI を2台導入…EV用充電器も8店に設置

燃料電池自動車の材料技術 普及版

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レスポンス 1月11日(日)

武蔵野銀行は、トヨタ自動車の新型燃料電池自動車(FCV)『MIRAI』を2台導入すると発表した。

同行では、低炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、MIRAI 2台を本部営業車として導入する。

また、電気自動車用普通充電器を秩父支店、東松山支店など、埼玉県内8支店に設置し、2月より順次、供用を開始する。

《レスポンス 纐纈敏也@DAYS》
2015年01月09日

button_15.jpg  ローム、スマートコミュニティーに適した規格準拠の通信モジュールの量産開始

2015年1月8日

 ロームは、スマートコミュニティー(次世代型環境配慮地域)の構築に適した通信規格「Wi-SUN」に準拠した汎(はん)用無線通信モジュール「BP35A1」の量産と、インターネットによる販売を始めた。汎用Wi-SUNモジュールのネット販売は業界初という。さまざまな機器で容易にWi-SUN通信が実現できる。通信に必要な情報はウェブサイトに掲載した。

 Wi-SUNはワイヤレス・スマート・ユーティリティー・ネットワークの略で、日本では特定小電力無線と呼ばれる920MHz帯に相当する。無線LAN(Wi-Fi)と比べて消費電力が少なく、通信距離が長い利点があり、スマートメーター(次世代電力量計)や交通インフラなどのスマートコミュニティーに最適とされる。Wi-SUNの採用を決めた電力会社もある。

 ロームは今回、月産3万個の量産ラインを確立するとともに、ネット販売に必要な文書や制御ソフトを整えた。BP35A1は日本の特定小電力無線(920MHz帯)の電波法認証も取得済みで、アンテナを内蔵しているため簡単に導入できる。業界トップ水準の受信感度があり、つながりやすいとされている特定省電力無線の中でさらに高い通信品質を実現した。

 BP35A1はスマートコミュニティーだけでなくM2M(機械間の通信)、IoT(モノのインターネット)にも適し、手軽に通信環境が構築できる。Wi-SUNモジュール本体、アダプターボード、アダプターボード用留め具、マザーボード(電子回路基板)を展開する。それぞれ7500円、650円、250円、7500円の標準小売価格を設定した。ネット商社3社が取り扱う。

(日経BP環境経営フォーラム)

button_15.jpg  発電できるインテリア 石川県工試など開発 格子戸をイメージ

北國新聞社 1月9日(金)

 石川県工業試験場と朝日電機製作所(白山市)、東大先端科学技術研究センターは、室内蛍光灯などの弱い光で発電できる太陽電池を搭載したインテリア製品を開発した。町家の格子戸をイメージした柄の間仕切りで、2016年度中の実用化を目指す。今後は漆器や焼き物などにも導入を検討する。

 間仕切りは縦20センチ、横50センチで、木製フレームの間に「色素増感太陽電池」と呼ばれる特殊な電池を配置した。通常の太陽電池に比べ、発電量は4分の1程度だが、色や形を自由に変えられるため、さまざまなデザインに使える。今回は、格子戸模様と加賀友禅の牡丹柄を描いた。発生した電力は、発光ダイオード(LED)照明や携帯電話の充電などに利用できる。

 インテリア製品の開発は、県産業創出支援機構(ISICO)が事業採択した。県工試と東大先端研が太陽電池を開発し、朝日電機製作所がインテリア製品のデザインと製造を担当する。新年度に試作品の出荷を計画している。
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